

診療部長、准教授
三枝 勉
MIEDA Tsutomu
留学が叶うまで
突然舞い込んできた留学のチャンス。
私が留学に興味を持ったきっかけは、学生時代に参加したドイツでの短期留学プログラムでした。埼玉医科大学では、学生の段階から国際交流の機会が豊富にあり、私もその経験を通じて「いつかは海外に留学してみたい」と考えるようになりました。医師として働きながらも、ずっと留学したい気持ちはありましたが、なかなかチャンスに恵まれずにいました。そんな中、国際学会で出会った先生から「留学行きたい?」と声をかけていただき、その先生の紹介で念願の留学が実現することになりました。
私は2018年から2020年の2年間、UCSD (UniversityCalifornia, San Diego) に基礎研究のために留学していました。留学先は痛みに関する研究を行う研究室で、主に動物実験を中心とした基礎実験に取り組みました。実はそれまで動物実験の経験はほとんどなく、まさにゼロからのスタートで、最初は本当に大変でした。右も左もわからない中での挑戦でしたが、だからこそ得られた学びや成長は、自分にとって大きな糧になったと感じています。留学を終えてみると、論文や文献を読む際に以前よりずっと基礎実験の内容を理解できるようになっていることに気づき、自分の成長を実感しました。苦労したことも含めて、総じて「楽しかった!」と言える留学でした。

留学して良かったこと
留学は視野を広げ、価値観を更新する機会
留学中にもっとも強く感じたのは、「日本の常識は世界の常識ではない」ということでした。アメリカでは、個性が尊重され、それぞれが自分の強みを発揮する社会です。「できないこと」ではなく「得意なこと」に目を向ける姿勢が根付いており、年功序列ではなく能力が評価される文化も、日本とは大きく異なります。私は留学を通して自分の価値観や視野が大きく広がり、常識にとらわれずに、物事をより自由に、柔軟に考えられるようになりました。このような経験は、今の自分のリーダーシップや教育への姿勢にもつながっています。
今やインターネットで医学の最新情報はすぐに手に入ります。論文も技術もオンラインで学べる時代です。それでもなお留学すべき理由は、「外から日本を見る」という経験が、自分の価値観や考え方を大きく広げてくれるからです。留学は単なる研究活動ではなく、視野を広げ、価値観を更新する機会でもあります。だからこそ、若い医師や学生にも、ぜひ海外に出て「世界基準の視点」を体験してほしいと願っています。日本の中で当たり前と思っていたことが、世界ではまったく通用しない。そのギャップに気づくことが、自分の器を広げ、真にグローバルな視点を持つ第一歩になるのです。

留学を考えている方へ
今すぐ動きだそう!
「いつ留学に行くのがベストですか?」とよく聞かれるのですが、私の答えは明確で「行きたいと思ったら、今すぐ動こう!」です。留学先の研究機関の状況もあるので、チャンスを逃さず、自分の気持ちが動いたときに行動することが何より大切です。あれこれと留学しない理由を浮かべ、先延ばしにしているうちに、家庭の事情やキャリアの変化など、留学が難しくなってしまうことも少なくありません。だからこそ、行きたいと思ったら、ぜひ一歩を踏み出してほしいと思います。
また、留学を希望していても、職場の理解が得られるかどうかを不安に思う方は多いのではないでしょうか。特に留学への対応は、直属の上司の考え方や方針に左右される部分も大きいと思います。私の場合は幸い、上司がとても理解のある方で、「(留学に)行っていいよ」と即答してくださり、他のスタッフの皆さんも「頑張ってきてね」と快く送り出してくれました。このような温かいサポートには、今でも感謝の気持ちでいっぱいです。だからこそ今度は、私自身が、留学を目指す先生方を全力で応援していきたいと考えています。

